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チョコレートの勇気

執筆者の写真: Mai IshidaMai Ishida

台風10号が轟く数日前、友人からの相談でとある判断をしました。

検討するにあたり、行動の動線を踏まえて考えました。


15年も勤めていた会社の業務についてすっかり忘れていたのですが

この度の対応をしたことで、すっかり思い出しました。

あまり考えたことはなかったのですが、仕事好きだったんだなと今更ながら思いました。

(今は早起きが出来ないからもう出来ない無理・・・)


その「動線」について、過去の出来事を思い出したので、2009年の日記を転記します。


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自分の中で納得し、静かな喜びを感じたことがありました。 

2009年の春から、なんというかな接遇をずっと受けていました。

私が正社員登用になったことで、とある大先輩Aさんが長年携わっていた仕事を奪うことになりました。

会社の方針だから、それに従ったまでだったのですが、どうしてもウチの職場はお客様ありき、人の気持ちで成り立っている部分が大きいから、 A先輩との間で不協和音が響くようになってしまいました。 でも、私の対応の未熟さが大きな原因でこうなったのだと思います。

辛いリアクションゆえに、先輩を嫌いなった方がラクなのかなと言い聞かせたりも度々したのですが、 どうしても出来ませんでした。 

それは、私がずっと大事にしてきた言葉をその先輩Aさんが言ってくれたことがあったからです。


「わからないことが出た時、踏みとどまった時、物事の動線を考えてみましょう。 そうすれば、自ずと答えが出ます」 

そういえば私はこの8年間、仕事で失敗して落ち込んだ時でも恋愛のことで一喜一憂した時でも、この言葉を思い出していたなぁ。 この言葉は、自分の中に住みついた言葉だ。  たとえば、今の仕事を辞めたりしても、色んな岐路にたっても、この言葉を励みにしていくだろうなぁ。 

そんな言葉を言ってくれたA先輩を憎むことは出来ませんでした。 

でも、不協和音な相手にお礼を言いたくても出来ない日々。 いきなり面と向かって伝えるのも変だし。とはいえ、いつか伝えることが出来ればいいかと思っていました。 

同僚を褒めるためのGOOD JOBカードがウチの会社にはあります。

それを取りまとめる仕事も私はしています。A先輩へのお礼をこのカードで伝えることも考えてはいましたが、何だか唐突感も感じてなかなか出来ませんでした。 

そんなある日、 GOOD JOBカードのバレンタインキャンペーンを担当することになりました。  書いた人、貰った人に対して、チョコレートを差し上げるキャンペーンです。  せっかくだから、お祭りに便乗して、色んなスタッフさんにカードを書いてみようと思い、カードを書きまくりました。受け取った人にチョコレートを渡すこともできるしなぁ。 

 そしてA先輩にもカードを書くことにしました。 

「くじけそうになった時、新人OJTの時に仰って下さった『わからないことが出た時、踏みとどまった時、物事の動線を考えてみましょう。 そうすれば、自ずと答えが出ます』  この言葉を思い出すようにしています。 この言葉をこれからも大事にしてきます。本当にありがとうございます」  そう書いて提出しました。 

至らぬお世話なんですが、去年の春から、GOOD JOBカードを貰った人が書いた人に対して御礼状を書けるよう、返信カード制度も作りました。 

私はA先輩に気持ちを伝えることが出来れば、もうそれで満足だと思いました。バレンタインキャンペーンを実施してよかったなぁと思いました。

不協和音な相手にカードを送る行為自体ドキドキで、行動に踏み出せただけで、満足でした。 

ところが、見返りを全く期待していなかったのですが、なんとA先輩から返信カードが届きました。 

「昔、意識せず言った私の小さな言葉をまいちゃんがずっと大切にしてくれていたなんて感激です★ 私も初心に帰ることが出来ました。ありがとう」と。 

 ・・・世の中には、こんなに嬉しいこともあるんだなぁと感激しました(家に帰ってマジ泣き致しました)  

勇気って持つべき時には持った方が、結果が芳しくなくても、往々にして良いことなんだと実感しました。 

臆病なタチなので、人の気持ちに踏みこみベタなところがあります。長年それで生きていますから、そうすぐには変わるものではないです。 

でも、少しずつ、勇気ってものを出そうと思いました。 

GOOD JOBカードは、ポスターに張り出されるものです。イコール、他のスタッフさんにも見知られるものです。 

先輩が言ってくれた言葉を、私一人が宝石のように大切にするのはもったいないと感じていました。 

この「動線」という言葉が響く人が、私以外にも1人くらいいるかもしれない、勇気づける言葉になるかもしれないと思ったことも、カードを書いた理由です。 

仕事は本当に色んなことがあります、今日出勤して、この先輩との関係はいつも通りの不協和音かもしれません。 

それでも。 私の心の中に、穏やかな風が吹くようになりました。 

先輩、この前、珍しく、先輩から私に笑顔で挨拶をしてきました。 

私にはどうしても見えないココロのわだかまりはあると思います。 

教育のヘッドになり、先輩の仕事を奪ってしまうカタチにはなりましたが、尊敬する気持ちは変わりません。 甘えベタな私で、壁を作っていた部分もあると思います。 

人の気持ちを大切に、出来ないこともあるとは思うけど、大切にしたいと思いました。  でも、引くことも必要。思いやりを持ちたいと思いました。 

・・とはいえ、仕事人間にはなりたくないけふこの頃。トドのような生活を妄想・・冬眠、いや春眠がしたい。

長く、ストレートな日記を書いてすみません。 ではでは★ 

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A先輩と共に働いた支店は、2018年3月にクローズしました。

私を社会人として鍛えてくれた、大切な場所でした。


これからも、大切な場所はどんどん無くなって行くのでしょう。そんなものなのでしょう。


でも。大切な場所を大切だと言える自分でいたい。

そして、今でも尊敬しているA先輩のことをこれからも尊敬したい。

「動線」は私の生きる道しるべな言葉だ。

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